移動平均線(MA)を活用するメリット

今回は「移動平均」をテーマに、ポイントをまとめてお伝えします。

テクニカルの王道中の王道であるのが、「移動平均」。

ゴールドナビでも「EMA13」などは手法の中心としてよく使うので、
移動平均(MA)の知識としては、これでOKといえるものを今日まとめましょう。

1.移動平均を使うメリット

まずは、移動平均を使うメリット。

他のテクニカルでなく、なぜMAが良いのか?ということですが、

・チャート上での効き方が抜群に良い
・シンプルで視覚的に分かりやすい

この2点が、他のテクニカルの追随をゆるさないという所でしょう。

世界中で使われるテクニカル

最もよく使われるテクニカル指標が、ローソク足(=価格)。
チャート上で、ローソク足(価格)を見ないトレーダーは、ほとんどいないはず。

そして、その次に使われているテクニカルがおそらく「移動平均」になります。

世界中の多くのトレーダーが、
“移動平均をチャート上に置いてトレードしている”わけなので、

・移動平均に従ってトレンドが続く
・移動平均付近でエントリーや決済が入ってくる

といった売買判断の基となっているわけです。

「使っているトレーダーが多いテクニカル指標がチャート上では効く」というのが本質です。

メジャー指標にも、移動平均が影響を与えている

また、移動平均に次ぐ、メジャー中のメジャーな指標として、

・ボリンジャーバンド
・MACD

がよく使われていますが、これらも移動平均から派生した指標。

ボリンジャーバンドは、ミッドバンド(中心線)として、
SMA20(21)をそのまま使用していますし、
MACDは、EMA(指数平滑移動平均)のEMA12とEMA26の差を基に計算されています。

移動平均は単体としてだけでなく、
こうした主要なツールの中にも用いられていますから、
やはり、チャート上での影響が大きいと言えます。

シンプルで分かりやすい

また、“シンプルで視覚的に分かりやすい”のも、移動平均のメリットの1つ。

使い方に関しては、次項で述べますが、1本のラインで、
トレンドの方向や、疑似的なサポレジを見ることが出来るのは大きなメリットでしょう。

便利なテクニカル指標は数多くありますが、
最も使いやすいといえる移動平均から慣れ親しんでいくのは有用といえます。

2.移動平均の使い方

続いて、移動平均の使い方に関して。

これは大まかに分けて言うと、

環境認識での使い方(トレンドの把握)
エントリー・決済での使い方(疑似的なサポレジライン)

という2点になると考えます。

傾きがトレンドを示す

まず、トレンドの把握の方ですが、「ローソク足だけだと、全体の方向が分かりづらい
という点を解決する目的で作られたのが移動平均ですから、
当然、トレンド把握には強みがあります。

シンプルな見方としては、

・移動平均が右肩上がりなら上昇
・移動平均が右肩下がりなら下降
・移動平均が横ばいならノントレンド

ですね。

 

こちらは、直近のドル円4時間足にSMA20を引いたもの。

移動平均の傾きに従って、買い、売り、ノーポジションを決めても、結構機能しそうですね。
(まず大損することはなくなります)

複線分析や乖離率もトレンドを表す

また、今回は詳しく述べませんが、複数のMAを使ってトレンド把握をする、
有名な「ゴールデンクロス」といった移動平均の使い方もあります。

これも、トレンドの出やすい通貨ペアや、
どちらかというと長期足のチャートでは、かなり効果的になります。

さらに、移動平均からどれだけ価格が“乖離”しているか、
もトレンドの強さをみるポイント。

価格と移動平均が、ごちゃごちゃと交わらずにトレンドが続いてるのであれば、
順張りトレードの局面です。

…と、移動平均でトレンドを見る方法も多彩であり、どれも有益です。
トレンド把握が苦手、という方は原点に帰って、移動平均を使うのも手ですね。

エントリーや決済ポイントにもなる

次に、エントリー・決済での使い方ですが、
移動平均は「疑似的なサポレジライン」のような役割も果たします。

「トレンド中に移動平均線近くでエントリーする」という、
これまた移動平均の代表的な使い方である“グランビルの法則”(2、3番)が、
相場で親しまれていることもあり、移動平均近くで、価格が反発することはよくあります。

また、200MAや、上位足のMAに近づくと調整が入ってきやすいため、
利食いの目安ともなりやすい。

図で示すと、このような感じです。

このように、移動平均でエントリー、決済をするトレード方法も人気があります。

3.移動平均の種類、設定

最後に、移動平均の種類と、期間設定について。

移動平均は、さまざまな種類のものが開発されてきましたが、代表的なのは、

・単純移動平均(SMA)
・指数平滑移動平均(EMA)

この2種で、使用するトレーダーも多いため、
まずは、この2つのどちらかを使うのが良いでしょう。

単純移動平均はローソク足の終値、その1つ1つの価格を、
単に足して平均する、というものですが、

指数平滑移動平均は、
「200日前の価格と、1日前の価格ならば、1日前の価格の方が絶対大事でしょ」
という考え方のもと、“直近の価格”をより重み付けしたうえで、
平均を出す工夫がされたMAです。

例えば、SMA5とEMA5は、さほど形状は変わりませんが、
SMA200とEMA200となってくると、項目数が増えるため、形状がそこそこ変わってきます。

また、指数平滑のEMAに関しては、SMAより傾きの変わり方などの反応が早いのが
最大の特徴となるため、“価格の勢いを重視してトレードする
順張りタイプの方に合いやすいと整理しておくと良いでしょう。

期間設定は、5の倍数か、フィボナッチ数

そして、最後に「期間」の問題。

ご存知のとおり、移動平均は期間の設定を替えることで、

・短期(5~10など)
・中期(20~75など)
・長期(100~など)

の移動平均となります。

「どの期間を使えばいいの?」というのが悩ましく、楽しい問題でもあります。笑

これも、決まった形はありませんが、
・短期の移動平均になるほど、エントリートリガーとして、
・長期の移動平均になるほど、環境認識用として
使われることが多いです。

具体的な数字ですが、キリのいい「5の倍数」が一般的で、
5、10、20、25、50、75、100、200というMAがよく使われていますね。

日足で言えば、

・20~25営業日=約1か月
・200営業日=約1年

ですから、20MAや200MAは、重要性もより高く使われてきたと考えられるでしょう。

そういった経緯から、日足以外の時間足でも、
20MAや200MAには、やはり重要性がありますね。

(グランビルの法則も 200MAを意識して作成されている)

 

こうした一般的な期間を使う、というのが間違いのない方法となりますが、
「15分足の200MA≒1時間足の50MA(4倍の関係)」のように、
このMAは他の時間足でいえば、どのMAになるか?というのを少し意識すると面白いです。

上の例のように、根拠が重なるものが多いMAほど効きは良くなると考えられるからです。

また、上に示した一般的な期間と併せて、フィボナッチ数も人気があります。

3、5、8、13、21、34、55、…(隣り合う数字を足すと、次の数字になる)

ここでも、5、20、50あたりの数字が出てきていますね。

見慣れない移動平均の設定が出てきたら、だいたい、
フィボナッチ数か、下位足の移動平均を倍化したものです。

少し工夫して、オリジナルメソッドを試したいという方は、
フィボナッチの期間も面白いでしょう。

目的をあらかじめ明確にして使っていく

さて、今回は移動平均をテーマに見てきました。

  • トレンド把握や、支持・抵抗としてよく機能する
  • 何のために使うかを明確にする(環境認識、エントリー、決済)
  • よく使われている+他の時間足でも根拠となるMAを使ってみる

これらを意識されると上手く使いこなすことが出来ます。

移動平均は、初歩的なツールに思われがちですが、全くそんなことはありません。

「チャート分析は移動平均線に始まり、移動平均線に終わる」
このような言葉もあるくらい、移動平均の重要性・実用性は高いので、
ぜひ活用していきたいですね。